the BEST 1 . ダイバクソウ

いつもの様に愛車である『黒ジョルくん(原付)』にまたがり
爆走して仕事場へ向かう。

軽やかな歌声も高らかに大爆走。
(信号待ちではダンマリ)

夜の道は流れが朝と逆で、僕の走る方向は空き空きである。
なので、持てる限りの力と出し得る限りのバイクの能力全開で

爆走、爆走、大爆走。

しつこいですかそうですか。(笑)

 

仕事場についてから携帯を見たら留守電が入っていた。

走っている最中にポッケの中で携帯がブルブルとバイブってたのは知っていたが、
もちろんの事、大爆走中だったので電話に出ることは不可能。

しかし、電話がなっても、イヤ、
電話をかけた側は留守電に切り替わった瞬間に電話を切ってしまうのが大体の相場なので
留守電にメッセージが残っているこの事実は、電話をかけてきた側の者が僕に何か相当の用件があるのだと判断する。

何なのだ?一体何なのだ?

もちろん聞いてみる。

再生、ピッ。

 

 

「アンタ、財布忘れてるけどいいの?
じゃ。

 

家の母からだった。

なんて留守電だ。

解決しようとする気を微塵も感じさせない。

 

母はやる気ゼロだ。

 

 

まあ良い。
一日ぐらい財布がなかろうが何とかなる。
仕事中にお金を使う事といったら何だい?

飲食代?

フフン。僕は賢いので家を出る時に
買い置いてあった缶コーヒーを持ってきているのだよ。
ゴハン代は特に必要ない。

だって休憩なんて概念、ここ最近ではめっきり影を潜めているんですもの。(泣)

 

後はガソリン代?

フフフン。ガソリンなんて現金で入れるのは
ナンセンスですよ、ナンセンス。

僕はカードと言うとてもステキかつ、

腹黒い感じの権力を常に財布に入れてあるで

ノー問題であるのだよ。

わかったか!庶民ども!

 

 

・・・・・

 

・・・・・・・・・・財布に?

 

 

「カードは財布に入れてある」って今言った気がするのは気のせいですか?

イヤな予感がプンプン匂うのは僕の思い違いですか?

 

 

仕事を終えてバイクに跨った僕は

無常にも『E』の位置にあるガソリンメーターと、

何処を探してもある筈もないカードが

タッグを組んで巻き起こす
悲惨な末路

をビンビン感じながらエンジンをかけたのだった。

 

 

 

 

アクセルを吹かしてから5分。

 

 

既にガソリンメーターは『E』を越えている。

 

エンジンがかかったのは不幸中の幸いという所であろうか。

ただ、

ウルトラマンならば、
変身直後にカラータイマー点滅。
って感じだ。

 

「何の為に俺、変身したんだ?」
と疑問に思う主人公。

「何しに来たんだ?あの巨人。
と困惑気味の地球防衛軍。

「ギャ?ギャース?」
と混乱気味に母国語訛りで話す
デッカイ爬虫類。

そして

「僕はあと何キロ風になれるのか?」と
ガソリンの神に問う僕。

神はこう言われた。

 

「むしろ君は風邪になりなさい。なるがよい。

 

 

僕はガソリンの神狩る決意をした。

決行は明日だよ。ウフフ。
みんな、火を絶やすなー。ウフフフ。それー着火だ、着火だー。

なんて妄想に身を任せ走行しても

ガソリンは減る一方である。
(当たり前)

 

僕は「何とかせねば地球とが危ない!」と思いながら(意味不明)
アクセルを吹かしてスピードを上げた方が良いのか下げた方が良いのか、
試行錯誤しながら爆走の上、更に大爆走するのであった。

 

 

そして遂に帰路の約半分を消化。

驚異的なネバリを見せる我が愛車に乾杯である。

だが限界点はもうじき来る予感がする。

もしくは大爆走の末、
大暴走してしまいそうな予感さえする。

 

このまま羽が生え出して
飛んでっちゃったらどうしよう?

どうもしない。

 

飛ぶだけである。(笑)

 

 

「坂道ではアクセルを吹かさない。」等の技を使いながらここまで来たが、後は祈る事しか出来ないようだ。
(アイドリングストップ作戦も思い付いたが、そのまま息を引き取ってしまいそうだったので中止した。)

そう言えば昔聞いた事がある。

ガソリンを最も消費するのはストップ・ゴーの繰り返しである」と。

そうか!止まらずに行けば良いのか!

いや、それ死ぬな。僕、死んじゃう。

 

その後、何度か赤信号を睨みつけながらもジリジリ進む。

その途中に何軒もある煌々と輝くガソリンスタンド
本気で燃やしてやろうかと思った

セルフサービスのGSで入れ逃げしてやろうかしら?と思ったが、たった4リッターの為に新聞に載るのはやるせない。

正に祈るしかない状況下。

何とか持ちこたえてくれ!黒ジョルくん(名前)よ!

と、ある意味で超大爆走しながら声に出して叫ぶ僕であった。

 

 

 

と、こんな中途半端な感じで終わってしまうのは、ここまで読んで
人生における貴重な時間を確実に無駄に消費してしまった
賢明な(?)読者様に申し訳ないので、
オチは少し手法を変えて、

擬音のみで表現したいと思います。

 

 

ブイーン、インインイン
(祈りながらもアクセル全開。)
ノノノノノノ
(ショック!前方の信号が赤!止まるとガソリンを消費してしまうので
スピードを落として青になるタイミングを狙う。)

ノノノ、ブォイーン
(停止線目前で信号が青に!アクセル全開。)
ッシ!
(心の中で小さくガッツポーズ。)
インインインイン・・・イォンイォンイォンイォーン
(イイ感じで走っている途中で聞いたこともない異音が。
異音と共に、死神の姿が見えた気がしてならない。)

イォーン、イォーン、イォーントントントン、ブォイーン
(徐々に食が細くなっていく黒ジョルくん。
しかし突如として復活。)

マー!!!!
(雄叫び。)
ドッドッドッドッド
(高鳴る僕の心音。家は近い。)
ブォーイン。ブォーイン。ブォ。
(携帯がメールを着信。十中八九、迷ル。)
ノノノノ、プゥイー
(携帯のバイブに動揺しウィンカーを出そうとしたらクラクションを鳴らしてしまった。)
プゥイー
(面白かったのでもう一度鳴らしてみた。
プゥ・プゥイー
(もう一度鳴らしてみた結果、やっぱり面白かったので更にもう一度二度連続で鳴らしてみた。
・・・・・フッ・・
(そんな自分を鼻で笑ってみる)
ララララ、
(ここまでくればもう大丈夫っぽい。
とりあえず歌を歌う。何故か
ラヴサンバディー。<大捜査線>)
ノノノノ、ノンノンノンノンノン。
キィーッ!
(徐々にアクセルオフ。そしてブレーキ。
遂に家に到着。)

ッッンッマァーーッッ!!
(超雄叫び。)

 

って感じでした。(笑)

む?何が何だかよくわからない?

殺意が芽生える気持ちが今、手に取るようにわかった?

 

うーん。そんな人は擬音の下辺りをドラッグしてみるといいかもね☆
(何だ?この終わり方。)

 

 

 

2002年3月7日〜12日までの『日々是心意気』より抜粋。再編集。

編集後記

当時は『黒ジョルくん』という原付に乗っていた。
今現在もまだ現役ではあるが、
「エンジンかけるにはキックのみ」、「エンジン始動後5分間は20キロくらいしか出ない」、
「アクセルを戻してもスピードが落ちない」、「ブレーキも戻らない」、
保険が切れている
といった
アルツハイマー的なバイク様に昇格しております。(笑)

『マグ作』という新たな相棒を経て『マジェスティ』に跨っている今でも『黒ジョルくん』は愛でています。
死ぬまで一緒だね。きっと。

2002年掲載時は4日間に分けて連載されたモノで、
合間、合間に『ADSLとは〜』とか、『吉田戦車風相関図』とかを挟んでいた。

あの頃は勢いが全てであった。(笑)

そんな僕を皆さんはどう思うか。
僕はステキだと思うさ。青春ね。青春。(遅咲き)

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