22. キンカソ

子供の頃、なによりも楽しみにしていたテレビ番組があった。

それは毎週放送するような代物ではなく、
年に1、2回しか放送しないという所謂

「特番」。

 

しかもゴールデン。

2時間スペシャル。

 

朝、新聞のテレヴィ欄を見て、時間を確認。

学校ではその番組の話題で持ちきりであり、誰もが興奮。

所々で 「夜が待ちきれないよう」 との声が聞こえる程の地獄絵図。(?)
暴動寸前である。

 

その日だけは「遊びが仕事」の小学生誰もが友人との遊びを控え、早めの帰宅。

そして万全の態勢で番組に熱中する為、いつもより早い時間に風呂に入る。

後は晩御飯を食べながら、その「番組」を見るだけ。という状況を作るのだ。

そこまで徹底するのには訳がある。

 

家族内での立場上、「風呂の時間の管理」という

特殊攻撃ステータス

子供には絶対に取得できないアビリティー

である。

 

もし親のバックアタック(先制攻撃)で

「風呂の時間管理」

発動されようなものなら

子供は

 

最終最大奥義 「泣く」

 

を発動せねば全滅は必至であろう。

 

しかし、そんな事態は出来れば避けたいものである。

何故ならば、友人との遊びも我慢し、楽しみに待ちに待っていた特番を
嘘泣き(最終最大奥義)の為に
霞んだブラウン管を見るのは損というものだ。

 

このような策を子供に張り巡らせてしまうまでの熱狂的人気の番組。

それは、

 

 

 

欽ちゃんの仮装大賞。

 

 

 

視聴者参加型の超大型番組で、その規模たるやまさしく全国クラス。

日本各地から集まり、更に選りすぐられた

仮装猛者どもの

基本ルールは簡単だ。

 

「仮装して芸を披露し、15点以上取れば合格。」

 

ルールは簡潔な方がゲームは燃えるものだ。

この他に味の付けようがない質素なルールに無理矢理、調味料をかけなかった事が
今現在も続く長寿番組にしたのは明らかであろう。

 

しかし皆さんも知っての通り『キンカソ(略)』には裏技が存在する。

これを発動した仮装猛者は、よほどの事がなければ合格のファンファーレを聞く事が出来る。

 

裏技。それは禁じ手スレスレの技術。

あわよくば反則である。

 

ここでは参考までにいくつかの例を挙げて裏技の一部を紹介する。

 

 

 

一. 幼子純粋流奥義 メロメロ波

 

ロクに喋れもしない子供を主軸においた仮装術。

「舞台に上がっているにも関わらずキョトンとして指をくわえ何もしない。」
「泣くべき個所ではないはずなのに何故だか号泣する。」等、
審査員の ”ここで点を入れて子供好きをアピール” といった
好感度アップ心をガッチリキャッチし、
特にこれといって面白くない仮装技でも高得点をマーク出来る。

もし失格した場合、その後の欽一(欽ちゃん)インタヴュー時に使う高等技術として、
「自分の年齢を間違える」 といった技もある。
この技の発動により起死回生の合格になる猛者もいる。

確実に技を決める為には ”子供を持つ女性審査員” もしくは
欽一を狙うのが定石とされている。

 

 

 

二. 無限自在流奥義 無間地獄

 

「あ、ヤバイ。審査員がイマイチって顔してる。」 と感じた時に発動する仮装術。

終演のタイミングが曖昧な仮装技を行っている場合、
審査員が「いつ点を入れればいいんだろう?」と困惑している状況がある。
この状況を逆手に取り、
”実は終わっているのだけれど、とりあえず点が入るまで誤魔化し
アドリブ等を取り入れ自分の
必死さをアピールする

その内、欽一が審査員を促し点が入り始めるが、
この仮装術は長く続ければ続ける程効果を発揮する。

一旦失格の鐘を聞いても諦めてはいけない。
むしろ反対に、この時点で
欽一を味方につける事が出来る。
こうなれば技が決まるのは目の前だ。

制限時間のない 「キンカソ」 ならではの仮装術である。

しかし、欽一に見限られた瞬間、この技は意味を持たない無用の長物と化す。

 

 

 

三. 封神三十六式奥義 学級名誉乱舞

 

学校の1クラスの教師及び生徒全員がチームとして参加する仮装術。

見た目の壮大さと、麗しい友情等がアピール出来、今の所、
合格率ほぼ100パーセントを誇る
最強仮装術である。

ただ注意しなければいけない事は、やる気のない生徒は居てはいけない。という事だ。
息があった仮装技を披露して合格したとしても、合格の喜びに狂喜乱舞し
皆で抱き合うくらいの勢いがなければ優勝は望めないであろう。

そう、合格はただの通過点なのである。
真の仮装猛者どもの目指す場所はただ一つ。
”優勝”なのである。

ただ、この技には裏奥義が存在する。

それは、
”教師が感動のあまり色々な事を思い出して号泣” 
というものであり、この裏奥義を発動すれば
”優勝”の二文字も、ほぼ手中に入れたと言っても過言ではないであろう。

 

もちろん、演技でも可。

 

 

 

等、様々な裏技が存在する。

 

楽しい。楽しいに決まっている。

 

こんなステキ極まる番組、他にあるであろうか?

 

 

「キンカソ」 最高!!

 

 

と、思っていた幼少時。

今となっちゃあ、幼少期の自分の純粋さ加減に目も当てられません。

 

 

だって、もう飽きたんだもん。

 

 

ヒドイですか?
僕ったらヒドイですか?

 

まあ、でもそんなもんだよ。(笑)

 

 

しかし、この間の休日(昼)に「キンカソ」の再放送がやっていた。

とりあえずテレヴィのチャンネルはそのままにパソコンに向かう。

耳で 「キンカソ」 を聞きながら、このサイト(この駄文ではない)の更新をする事にする。

僕は文を書くとき音楽を聴きながらやるのが苦手なので
大体テレビをつけっぱなしで書く事が多い。

好みの音楽をかけてしまうと音楽に集中してしまうのでイケナイ。
雑音なら文に集中できる。(無音では寝てしまう)

「よし、少しでも待ってる人が居るんだ。張り切って更新するぞ!」と思いながら更新作業。

 

 

パパラパーパパ、
パーパパパー、
ディギュン!(合格時効果音)

 

 

瞬間的にテレヴィに顔を向けてしまう。
そして、しばらく合格の喜びに歓喜する仮装人(かそうびと)と欽ちゃんのやり取りを見る。

 

「イカン、イカン。更新せねば。」 と思い、また顔はVAIOのモニターに向ける。

 

 

パパラパーパパ、
パーパパパー、
ディギュン!(合格時効果音)

 

 

また瞬間的にテレヴィに顔が。

その時、僕は気付いた。

 

この効果音は雑音ではない。

僕が好んでいる音楽なのだ。

 

僕は「キンカソ」を見たがっている。

 

何故だ?
飽きた筈なのに。

しばらく見ていなかったから懐かしさから、僕をそうさせるのか?

「キンカソ」 よ?

 

 

イヤ。そうではなかった。

僕はその瞬間に理解した。

そう、合格の効果音に瞬間的に惹かれる意味を理解した。

 

 

 

 

 

合格メダルを持って来てくれる

バニーちゃんが出てくるタイミング

を体が覚えている事実

を理解したのであった。

 

 

 

しかもその時見ていた「キンカソ」では、以前までの黒い普通のバニーちゃんではなく

 

フカフカ感が全面に押し出された

露出満足度が高得点

白いバニーちゃん

であった。

 

 

 

今度の放送時にはどれほどの

 

フェチバニーレベルアップしているか

確かめなきゃイケナイので、

 

僕は見ます。(笑)

 

 

 

って言うかこのバニー話を書きたいが為にここまで容量を大きくしてしまって

スマンと思ってなくもない。

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