32. コンナアタシヲ

少し前、家族で晩御飯を食べながらTVを見ていた時の話。

その時、何を見ていたのかは忘れたが
ブラウン管はある一人の人物を映し出していた。

ニューハーフさんだ。

って言うかこの呼び名は古いですか?セーフですか?

もしくは、
こんな事を気にしている僕がアウトですか?

まあ良い。

まあ、簡単に言ってしまえば、
おすぎ・アンド・ピーコ(「タッキー&翼」風に)らを
代表選手とする
オカマさんである。

 

しかしその彼女、
おピ(略語)とは一つ違った要素を持っていた。

 

 

ドびっくりな美人っぷり。

 

そんな綺麗なハーフさんが、この度、完全な女子に変身した事実を反対している両親に報告しに行くと言う感じの番組だった。

元息子の艶姿を見たオヤジさん、もう口アングリ。
泣きつつも元息子の生き方に歩み寄りを見せるオフクロさん。
そんな両親の姿を見た元息子、号泣。

そんな感じの番組に

現在息子、僕激怒。

 

何故だ!何故、こんなにも綺麗になった息子を喜ばないのだ!

もし僕が親なら
もうスタンディング・オベーションだね。

落っとっせ!落っとっせ!なんつって。
(何を落とすのかは不明)

超クール!超クール!なんつって。
(以下同文)

 

もう、男子にしてこの美しさは、ある意味

男子としては失敗作レベルですよ。

元息子君、正解!

むしろ親、不正解!(?)

 

 

だが、しかーし!!

男子に生まれてしまった以上、元息子も頑張れっつーの!

その美貌さえあれば本人ビックリする程のウハウハ人生を楽勝でおくれたはずだよ!

それをアンタ、

チョン切っちゃダメじゃないかあ!!

 

なあ?

なんて超矛盾かつ不条理な意見を食事中に親に言った。

 

母親 「あら、でも私はアンタが
将来絶対に

 

 

オカマになると思ってたわ。

 

 

そんな圧倒的パワーを持つ衝撃的告白を前にして
口の中にあった豆腐が

ショットガンばりの勢いで吹き飛んでいった。

 

パーンって音がしたよ。

 

 

豆腐もビックリしたろうが、僕の方がビックリだ。

散弾銃の欠片を拾いつつ、そしてドキドキしつつ、
鼻の中がフガフガしつつ、
僕は母に何故そんな言いきれる事が出来る自信があるのか聞いてみた。

 

母 「だってアンタ、

よく女装してたじゃない。

 

 

 

ん。確かに。

 

母 「実際、女装なんて話を聞いた時はどうしようかと思ったけど、
いつそうなってもいいように

覚悟だけはしておいたわよ。」

 

 

 

ん。スマン。

 

そう。僕は中学、高校時代、
何故か事あるごとに女装をしていた。

イヤ、待ってくれ!待ちなって!待ってくださいって!
まだ、このサイトを見なかった事にしようなんて思うのはまだ早いですってば!
話を全部聞いてくれてからで間に合うから!大丈夫だから!

多分。(笑)

 

そう。僕には女装経験があると言う事実は確かなのだ。
ウソ偽りない真実。
しかし。しかしである。

 

僕は一度たりとて、
自らグローイングアップしようと思って
女装した事はない。

 

中2の林間学校。

キャンプファイヤーの出し物で、女子は男装、男子は女装という
パッとしない企画が通った僕のクラス。
スカートを自ら踏み、マンガのようにコケる。

 

中3の修学旅行。

何故か去年と同じ企画が通る。
今考えても釈然としない。

 

高1の授業中。

何故かクラスの女子にスカートを履かされる。
午後の授業は学ランにスカートというかなりワイルドなスタイルで勉学に励んだ。

 

高2の文化祭。

クラスの出し物、お好み焼き屋の売り子にさせられる。
バリバリに化粧した僕がお好み焼きを売りまくる。

 

高3の友人の家。

じゃんけんで負けた者が友人の姉の服を着るという罰ゲームにみごとに負ける。
その後、凶悪な友人姉にひっぱたかれる。

 

 

と、言うように
何故かはわからないが、僕の人生には女装が付きまとっていたのである。

そんな事情を母は知らない。

覚悟までした母は知らない。

 

僕は何も言わず食事を終え、あえて無言のまま自室に戻った。

そして、高3の友人の家で撮った写真をコッソリと引出しから出し、眺めた。

そう、母は知らない。

 

女装した僕は

 

 

ブッチギリで和田アッコだ。

 

180cm近い男がいくら綺麗に化粧をしても

それはアッコでしかない。

 

僕はその写真をビリビリに破いて捨てた。

いい歳こいて泣きそうになったのは言うまでもない。

きっとそれは嫉妬のせいだ。(笑)

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