the BEST 2 . カギリナク ショッキングニチカイ ブルー

第一章 予想的中

早朝6時30分。僕は横浜駅で彼女ちゃんを待っていた。
待ち合わせは7時。
いつも待ち合わせ時間には10分前に着くのを心情としている僕であるが、流石に早すぎた。

明らかに前夜、興奮と緊張の為に眠りが浅かったので
朝の5時30分にビクッっとなって飛び起きた感が丸出しである。

前面に押し出して寄りきりである。(不明)

 

一体僕は何に興奮しているのか。
何に緊張しているのか。

そう。僕は、イヤ、僕等はこれから旅立とうとしている。

憧れの地、

沖縄

へ飛び立とうとしているのであった。

しかも石垣島』。

 

以前から何かと言えば、
「沖縄に行ってソーキそばが喰いてぇ。あぁ、呼んでる。沖縄が呼んでる。
モーって。ンモーって。(鳴き声)
泡盛が!イヤ、ビーチが!日本とは思えないビーチが呼んでるのさ!」

と、沖縄行きを熱望していた僕だが、
ハッキリ言ってそんな長期バカンスが取れるとは思ってなかった。

それがどうした事か、沖縄行きの話はトントン拍子に形になっていき、
遂に今日という素晴らしき日を迎える事と相成った。

 

これが興奮せずにはいられますか?!ってな話な訳ですよ!!

無理だろ?!あぁ、無理だよ!

バーカ!ブァーカ!
スイマセンでした!!
(テンション高)

最高だぁー。斉藤(間違い)だよー。

と、ここまでテンションが上がりきった僕。
この先は1分1秒も無駄な時間はない。
このテンションがステキな思い出の架け橋になるからだ。
何が起ころうと笑える。
人生で最高の旅になる予感がビンビン伝わってきている。

だがしかし、

この興奮っぷりが後で悲劇を招こうとは。

 

 

7時を5分も過ぎた頃だろうか。
彼女ちゃんが到着した。
空港に向かう道すがら話を聞いたのだが、どうやら彼女ちゃんは前夜ハードな仕事だった為、
寝たら確実に寝坊するという危険があったので
一睡もしていないという強行手段を取っていたらしい。

ヤバイくらい熱い。

 

熱いゼ!(笑)

 

 

8時に空港に到着。
受けつけのお姉さんにチケットを貰って一安心。
後は飛行機に乗ってしまえば夢にまで見た沖縄上陸である。
胸が高鳴る。
が、腹が減っては戦(?)は出来ぬ。
とりあえず、時間がまだあるので持参したおむすびで腹ごしらえ。
空いていた椅子に座り食べ始めた。

目の前を拳銃を持った警察官がやたら歩いてるのは
気にしない。

って言うか気にしない方向で。

 

そう、この頃アメリカで起こったテロ事件、そしてワールドカップ開催中の厳重警備。

空港はピリピリしていた。

 

あれ?もしかして

僕、入場審査で捕まりますか?

 

え?だって僕、

 

ナイフもってますから。
(ちっちゃいツールナイフ)

 

 

 

 

・・・捕まりました。(笑)

厳重な身体検査、及びナイフの没収。(現地まで)

空港のお姉さんの
アーミーナイフ預かりです!」
怒号。

そして先に行って待ってた彼女ちゃんの
苦笑い。

旅行慣れしている彼女ちゃんいわく、
「こんなに長く捕まってた人は始めて見た。」
と。

 

こんな最悪な具合のスタートダッシュを経て、
僕は憧れの地、沖縄へ飛び立って行きましたとさ。

うん、薄々とは捕まるかなあって思ってた。うん。(笑)

 

 

第二章 NORIKA

そんなこんなで、何とか飛行機に乗る条件を満たした僕。

案内のアナウンスがあるまで
勝利の一服タイム。

ここで注意しておきたいのは、空港のお姉さんに
全身をくまなくチェックして貰いたいが為に
凱旋門(金属探知のゲートの事らしい)を
3回も通った訳ではナイと言うことだ。

 

奥様聞きました?3回ですって。3回。
3回って。(笑)

勝利の余韻に浸る間もなく、搭乗のアナウンスが流れ始めたので緊張しつつも乗り場へと向かう。

久しぶりの飛行機だ。
子供の頃は毎年のように九州へ行っていたのだが・・・。
数年のブランクが僕をビビらせる。

そして子供の頃から抱いていた疑問を思いださせる。

 

何故、
あんな鉄の塊が空を飛べるのか?

 

アホだ。この人、アホだ。と思った人は
今すぐ自分の頬をひっぱたけ。(笑)

緊張の面持ちを彼女ちゃんに悟られぬように飛行機に乗り込み僕たちの座席を探す。
座席は思わぬ所にあった。

何か、乗客用のスクリーンの真正面。

あまりに真正面すぎて何も見えない有様だ。
しかも3列ある真中の席なので窓も見えない。

どうすればいいのか?

この緊張気味の精神状態を誤魔化す物が何もない。
彼女ちゃんは乗り込んで真っ先にスチュワーデスさんに毛布をもらい、寝る体制は万全なのは言うまでもない。

 

発狂?発狂ですか?

お客様の中にお医者さんはいらっしゃいませんか?!
的な事件を起こしそうです。

そんな時、スチュワーデスさんが何か用紙をくれた。

何だろうか?

「先ほどの見事な捕まりっぷりを拝見させていただき、貴方の事が好きになりました」
的な恋文であろうか?
(ありえないし、そんな恋文貰ったら即座に泣く。)

 

何の事はない。
ビンゴのカードだった。
どうやら2時間30分のフライト中に乗客を飽きさせない為のゲームらしい。
もちろん商品もある。

やるな、JAL。

ビンゴカードのウラにプリントされた藤原ノリカも
そりゃ微笑むってもんだ。(?)

そのビンゴのカードを見た彼女ちゃんは興味を前面に押し出した。

彼女ちゃん 「おお!スゴイね。やりたい。ビンゴ。
始まったら起こして。

流石、一睡もしてないだけの事はある。
飛行機が飛び、安定するとスヤスヤと寝てしまった。

僕は緊張もあり、寝ようとは思ってなかったので
「ヨシ。起こしてやるからいいよ。」
と言っていた。

 

 

 

 

 

 

ポーン。(音)

アナウンス 「当機は後10分ほどで着陸態勢に入ります。
シートベルトを締め、リクライニングをお使いのお客様は座席を・・・」

 

何時の間にか
意識がない程
グッスリ寝ていた様子です。

 

もちろんビンゴカードには穴の一つも開いてません。

FREEの場所ですら。

彼女ちゃんに、事あるごとに言われるであろう
数あるウィークポイント
沖縄旅行で増えるなんて
思ってもみなかったよ。

 

 

第三章 リベンジ・アタック

数あるウィークポイントを着実に増やし、
何処に放ってもストライクが取れそうな感が滲み出て来た僕

何処に放ってもストライクが取れる彼女ちゃん
無事に那覇空港に到着した。

2時間弱グッスリの僕等であったが、お昼ともなればオナカが空く。
人間とは不思議なものだ。
何もしてないのにオナカだけは空く。

そう、ビンゴもしちゃいないのに。

 

そんな訳で空港内にあるゴハン処で食事タイム。
もち、狙うは郷土料理。

イイ感じのお店を発見し、僕はソーキそば、彼女ちゃんはゴーヤーチャンプルーを食す。

 

ヤバかった。

 

ヤバイのである。
最高に美味い。

 

今なら「美味いぞぉー!!」と叫んで
大阪城を破壊出来そうだ。
(@味王)

イヤ、わかる人だけわかれば良い。(笑)

兎に角、それほど美味かった。

もう僕はこの旅の食事はソーキそばしか食べない。
そう誓った。

が、隣の人が食べているタコライスも美味そうだと思ったので
誓うのはやめた。
(意味不明)

 

オナカも満たされ大満足。
目的地である石垣島への飛行機もそろそろ飛び立つ時間だ。

なので再度、勝負の場へと向かう。
(第一章参照)

 

今度こそは負けまいと気合を入れる。
もう危険物の類い没収されたので大丈夫だ。
(ダメ旅行者)

しかも、身に付けている金属類は過去3回連続で通過した
凱旋門のお陰で全て明確になっている。

ゼッテー無傷で通過してやる。

 

 

 

 

 

 

ベルトのバックルって何で鉄で出来てるんですか・・・?
非常ベルと共に回転灯がグルグル回ったよ・・・・?

そんな訳なので本日二度目
全身凶器チェックの時間がやってまいりました。

もちろん彼女ちゃんの苦笑いがもれなく付いてきてます。

 

早くバカンス気分を味わいたいと
心底思った瞬間だったね。

 

マジで。

 

 

第四章 忘却の彼方に

一日に二度の不信感を抱かれながらも
着実に石垣島へ歩を進める僕と彼女ちゃん。

那覇→石垣の飛行機は1時間のフライト。
飛行機の機体は小さいが、僕等の期待は最大限に。
(駄洒落)

ポーン。(音)

アナウンス 「当機は後10分ほどで着陸態勢に入ります。
シートベルトを締め、リクライニングをお使いのお客様は座席を・・・」

 

後10分!

後10分でようやくバカンス気分を味わう事が許される。(笑)

機内でニコニコの僕は

10分後恐怖のドン底に突き落とされる事を知る由もなかった。

 

機体が小さい為なのか、機長のやる気の問題なのか、何なのか。
理由は未だ不明だが、

着陸時、ものスゴイ衝撃等の為
奇妙な笑いが止まりませんでした。

 

だって有り得ないスピードで滑走路を走ってるんだもん。
飛ぶ為の乗り物が。F1みたいに。

 

そんなこんなでも無事に目的地、石垣島への到着を果たした僕等。

まずは二人で感動。

そして更なる感動を求めて空港の外へ歩を進める前に行動作戦を考える。

出発前プラン(初日用)はこうだ。

 

1.タクシー、もしくはレンタカーでまずはホテルにチェック・イン。

2.初日は飛ばすべからず。の精神を大切にしつつ、
ホテルから歩いて行けるプライベートビーチで沖縄の海を満喫。

3.郷土料理を満喫。

 

ってな訳でしばし会議。

いきなりレンタカーを借りる事を諦め、タクシーでホテルに向かう事にする。

 

空港から出てタクシーに乗り込むまでの数秒間で
沖縄の暑さにビビる。

 

ヤバイくらい南国だ。(当たり前)

 

しかし、もっとヤバイのが乗り込んだタクシーだった。

運転手さんは推定60以上のおじいちゃん。
話し好きでのんびり屋。
オススメの観光ポイントを話してくれるでもなく
自分が録音した沖縄民謡のテープを聞かせてくれる。

ここまでは、まあステキだ。
「ああ、沖縄ってのんびりでイイ感じの土地柄だなあ」なんて思える事であろう。

だが、このおじいちゃん運転手さん、

 

常に20キロぐらいの速度で進行。
(前に車はほとんどナイ)

 

テープをデッキに入れる時は乗客(僕等)に断りもなく
いきなり一旦停止

 

何か知らないけど常に路肩に乗り上げそう

 

と言った具合に

とてもダメな運転手さんでした。

 

やっとこさホテルに到着した時、運転手さんは僕に名刺をくれた。

「帰る前に連絡してくれれば色々な場所を紹介するから是非電話してよ」
って。

 

 

僕と彼女ちゃんは名刺を貰った事を
永久に忘れる事を胸に誓い
ホテルのチェックインを済ませた。

 

 

 

最終章 限りなくショッキングに近いブルー

空港からホテルまで僕等はどうやって来たのだろう?
不思議だなあ。ホント不思議だよ。

ま、どうでもイイ事なのであろう。
きっと。(笑)

 

兎に角、僕等は今回の石垣島作戦での拠点となる
フサキリゾートヴィレッジへと到着したのである。
(注:村ではありません)

客室となるコテージ風の赤瓦の建物(建物1つに2室)が敷地内に並び、
その中にはもちろん食事処、プライベートビーチ、プール等が。

しかもプールサイドには
映画『カクテル』に出てきたような南国風バー。(って言うか南国)

僕は遂に理解した。

 

あ、この感動を最大限に味わせてくれようとして
ワザと意地悪したのね。
神よ!

レッツ!ポジティブシンキング!!(笑)

僕等はホテルマンに案内されて部屋に着く。

重く、そして僕を悩ませた荷物(主に刃物)
部屋に置き、まずは心の中で部屋に挨拶。

「おーりとーり」
(間違い。いらっしゃいませと言う意味の八重山方言)

 

僕等は一息ついた後、早速水着に着替えて、歩いて数分の
プライベートビーチに向かった。

何てステキな響きなんだ。

プライベート・ビーチ。

 

もう一度言おう。

プライベートビーチ。
(笑)

 

ホテル利用客にのみ味わう事が出来る、
いや、むしろ

僕の海。

そして僕の土地。(傲慢)

 

初めて目にする沖縄の白砂と限りなく青い海。
僕等は言葉を失った。

自然ってスゴイ。

 

沖縄
サイコーゥーゥゥー!!

 

僕等は借りたシュノーケルでその澄み切った海の中を観察する。
身を水面に漂わせながら。
深さは足の膝までもない位の浅瀬。
しかし、その海の中には青や黄色、見たことも無い様なカラフルな魚達が僕等の目の前5cm程で優雅に泳いでいた。

海がこんなに綺麗なモノだったとは。

僕はこの感動を一生涯忘れない。
絶対に。

僕等は感動を伝え合い、何度も感動を味わいに海の中を見に行く。

しばらく魚達と戯れては立つ。
「ここに群れがいるよ!」と話しては海に入る。
その繰り返し。

海は中に入れば完全な透明度を持ち、
海を立って見下ろせば完全な青。

これを『限りなく透明に近いブルー』と言わずしてなんと言おう。

僕は魚の群れを発見し、彼女ちゃんに伝えようと立ち上がる。
しばらくして彼女ちゃんも立ち上がる。

僕 「ここ、スゴイヤツが居るよ!」

彼女ちゃん 「・・・」

僕 「?」

彼女ちゃん 「うわ!大変!ちょっと!見て見て!!

僕は何かと思い彼女ちゃんの元に近付く。

僕 「何?!どうしたの?!」

 

彼女ちゃんは自分の手をジッと見ている。
僕もその手をジッと見つめてみる。
僕等の足元は限りなく透明に近いブルー。

 

彼女ちゃんの手には、青い、とても青い、

正確に言えば

ショッキングブルー

って感じの色の粘体があった。

 

 

しばらく二人でジッと無言でその粘体を覗き込む。
ジッと。

 

彼女ちゃんがおもむろに口を開いた。

 

 

 

彼女ちゃん 「大変!青い海に入っていたから

 

 

 

 

青い鼻水が出た!!!

 

 

 

 

今でもその粘体が、何故青かったのかはわからない。

だがしかし、

見たことも無い程
ショッキングな青い鼻水
だった事は間違いない事実であった。

 

 

僕はいつかまた、この謎を解明する為に沖縄に行こうと思ってます。

あ、それと、大丈夫!

彼女ちゃんは今現在、

元気に生きてます。(笑)

 

僕は、何よりも大きな感動と
何よりも大きい
爆笑を沖縄で得ました。

とても幸せです。

とりあえず、こんな言葉で物語を締めくくらせて頂きます。

 

「なんくるないさー」
(なんとかなるさ)

 

 

 

 

 

 

 

2002年7月1日〜9日までの『日々是心意気』より抜粋。再編集。

編集後記

本当にステキな旅でした。沖縄。
今でも鮮明に思い出せる程キレイな海。そしてショッキングなブルー。(笑)
来年は我が相方含むトニセン、カミセンの同期チームと10周年のお祝いに、沖縄に旅行に行こうと計画しております。
やっぱ呼んでんだろうなぁ。ンモーって。(笑)

このままでいくと多分本気で
沖縄でお土産屋さん経営
という人生を送りそうです。幸せ。(笑)

2002年掲載時は5日間に分けて連載されたモノで、
『第一夜』と表記してましたが、今回は『〜章』に変えました。
それ以外はあまり手を加えていない。

それ位、当時から完成していたのだろうよ。
(自画自賛)こんな僕を皆はどう思うか。

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