14. セカイノチュウシンデ「ゲェフ」ト サケンダ ケダモノ

『入社説明会においての中間報告、及び、ビバリーヒルズ柔術クラブ青春白書』
より抜粋。

1995年8月某日、横浜某所で行われた「入社説明会」のタイムテーブルを表記し、(青字にて表示)
同会において発生した事故、及び、問題点(赤字にて表示)について報告致します。

 

1995年(平成7年)8月某日 09:00

説明会、開会時刻。
会場となるビルの一室に就職内定者が初々しい正装(スーツ、制服)で集まり、
緊張の中、説明会のスタート。

 

同日 09:10

社長挨拶。
挨拶後、自社製品(レストラン)のケーキとコーヒーが出席者全員にサービスされる。

 

同 09:15

専務、及び、常務挨拶。

 

同 09:20

新入社員自己紹介。

同時刻、

肩までの長髪の就職内定者・18歳高卒男子(以下 「甲」)が
バリバリの私服で登場。

その第一声は 「スイマセン。遅れました。」

その風貌と、遅れた事に微塵も罪悪感を感じていない潔さに、その空間は異様な緊迫感が漂う。

 

同 09:25

自己紹介終了。
全員、緊張と異様な緊迫感の中、今後の抱負等を語る。

同時刻、

「甲」は自分の自己紹介が終わった瞬間、
テーブル上のケーキを猛烈な勢いで完食。

この行為に関しての「甲」の見解は以下に記す。

 

「据え膳喰わぬは男の恥」

 

「だって、みんな緊張してるから全然食べてないんだもの。
とりあえず先陣を切ってみました。
もちろんみんなの緊張を解く為。
出された物、残すのってキライなんですよ。失礼じゃないっすか?」

 

その後、「甲」の勢いに度肝を抜かれた内定者らの一部は背中を
半ば無理矢理押されるようにケーキを頬ばった。

 

同 09:30

課長、及び、部長等による会社概要、雇用形態などの説明。

説明中、「甲」は

遅れて来たにも関わらず、椅子にふんぞり返りながら説明を聞き、
同じ説明を二度行った専務取締役にツッコミを入れる。

この様子に同就職内定者、
20歳専門卒男子(以下、乙)は身を震わせていた。

 

同 10:00

その他、入社においての心構え等の講習。

 

同 10:15

内定者からの質問の受け付け。及び回答。

 

同 10:30

現場の見学。
新入社員等が入社後配属される現場の状況を取締役引率のもと見学。

 

同 10:50

記念撮影。

 

同 11:00

入社説明会閉会。解散。
各自、帰路につく為、荷物をまとめエレベーターに乗り込む。

 

同時刻、

 

「乙」がエレベーターに乗り込む際、やや後方に位置していた為、
「乙」 が乗り込んだ瞬間、

ドアが閉まり「乙」は顔面部分のみドアに挟まれる。

挟まれた瞬間 「乙」 は 「ゲェフ」 との擬音を発した。

 

更に同時刻、

エレベータ−内に搭乗していた 「甲」 は

「キャーッキャッキャッキャッ(爆笑)」

と、初対面である年上の人物に対して指を指し、
手を叩いて大爆笑していた。

 

笑い声が木霊する中、エレベーターのドアは何事もなかったかの様にゆっくりと閉じ、
小さくなった笑い声と共にエレベーターは階下へと降下していった。

 

 


 

『入社式、及び、オリエンテーションにおける中間報告、及び、シャア専用ズゴックについての考察』
より抜粋。

 

オリエンテーションの行き先は鶴見区の「キリンビアビレッジ」、及び
運命的とも思える八景島シーパラダイス」に向かう工程である。

集合時間に集まった新入社員一同はバスでの移動で(中略)

 

昼食時に 「甲」 及び 「乙」 は周りの人間が遠慮してオレンジジュースを飲んでいるにも関わらず
ビールをガブ呑みし、(中略)

 

乙 「アア!!アシカショーの券がない!

甲 「バカ野郎!!落としたのか?!
これだけを楽しみにしてたのに何て失態を(中略)

 

最後の食事会時、

甲 「髪は切りません。え?ダメって(中略)

 

甲 「何でオマエはパセリばっかり食べ(中略)

 

食事会終盤、常務取締役の挨拶時に

甲 「スイマセン。トイレに。

乙 「スイマセン。僕も。

と席を立ち、

場の空気を最悪に(以下略)

 

 

 

 

 

以上、報告終了。

 

結果として、我の損害が極めて大なりとは言え、未知の目標に対し、
経験ゼロの少年が初陣に挑み、これを完遂せしめた事実。
甲、乙 の功績は特筆に価する物である。

ただ作戦課としては更なる問題点を浮き彫りにし、多々の反省を残す苦渋の戦闘であった。

 

 

 

追記。

 

文中人物「甲」は本文作者ではないか、等の見解が大半を占めているようであるが
その可能性は極めて大であり

十中八九、作者である。

 

そして文中人物「乙」は

ほぼ間違いなく、その相方である。

 

 

 

了。

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